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 Ⅴ 離陸(テイクオフ)
 

1.手の構えと走り方
2.キャノピーの傾きの調整
3.キャノピーの前後の調整
4.天使の輪   
5,離陸の位置調整(高低)
6.空中へ

 

 

 

 

 1.手の構えと走り方
・構え:両腕をW字型にして、こぶしを肩より少し上近辺に位置させる。手のひらには、ブレークコードのコントロールグリップを握っている。
・走り出しの時、少しブレークコードを少し緩め(上に押し上げる)、そうすると、キャノピーが、若干、前に走り出す。
・そうすることにより、走り出しやすくなる。
・ハーネスで胸を意識して体全体で引っ張りながら、パラグライダーと共に走る。ただ勢いよく走るのではなく走ることでライザーに一定の力を加え続ける様にする。少し前傾しつつ、胸でハーネスを押す感じで、地面を駆け降りるような気持ち。姿勢は、マラソンのゴールラインを切るときのように胸を張り、両腕を肩の上に掲げて走る。
・キャノピーが後ろ過ぎる(上がってこない)場合は、ブレークコードを緩める(手を上げる)、そして体重を前に掛けるようにする。
キャノピーが前過ぎる(追い越されそうな)場合、ブレークコードを引き下げて前へ急ぐ。
・風が弱いときは一生懸命早く走る、一方、風が強いときは自然に任せて、焦らずゆっくり走る。


 

 2.キャノピーの傾きの調整
・前向きになったら、どちらか片方の翼端を見ながら(キャノピーの傾きは、ハーネスの引っ張られ具合でも感知できる)、傾きの修正を行い、走る方向を調整する。

(1)身体の位置による調整
・キャノピーの左側が上がっているとき(ハーネスの左側ライザーが上に引かれるとき)、身体はグライダーの真中から、左側に位置する形になっている。この場合、身体をキャノピーの中心に位置させるために、右側に移動させる。
・そして、前方へ向かって走る。
・キャノピーの右側が上がっているとき(ハーネスの右側ライザーが上に引かれるとき)、身体はグライダーの真中から、右側に位置する形になっている。この場合、身体をキャノピーの中心に位置させるために、左側に移動させる。
・そして、前方へ向かって走る。

(2)ブレークコードによる調整
・キャノピーの左側が上がっているとき(ハーネスの左側ライザーが上に引かれるとき)、この場合、左側ライザーを引き下げ、傾きを調整する。
・そして、前方へ向かって走る。
・キャノピーの左側が上がっているとき(ハーネスの左側ライザーが上に引かれるとき)、この場合、右側ライザーを引き下げ、傾きを調整する。
・そして、前方へ向かって走る。

 

走る方向とブレークコードの調整右移動最終形.png
走る方向とブレークコードの調整左方向へ最終形最終形.png

 注意ポイント:上述したように、キャノピーが傾いた時の修正方法として、自身の身体をキャノピーの中心に移動させる方法とブレークコードを引く方法の2つがある。この2つの方法には、有効に働かせるための優先順位がある。キャノピーが傾いた時、最初に自身の身体をキャノピーの中心位置に移動し、傾きの修正を試みる。そして、それでも傾きが修正できない場合に、ブレークを使うという順序をとる。

 3.キャノピーの前後の調整
 キャノピーが身体の前でもなく後ろでもなく、前後の位置関係において、ちょうど真上にくる位置に調整する。
・ブレークコードを引き過ぎると、キャノピーが身体の位置よりも、後ろに行き過ぎてしまう。
・その時、風が強い場合には、下図のような状態になり、後ろにグイグイと引っ張られてしまう。
・逆に表現すると、上にグイグイと引っ張られるときは、ブレークコードの引き過ぎです。

ブレークコード引き過ぎ後ろに.png

・風が強い場合には、強引にブレークコードを引くのではなく、キャノピーが身体の真上にくる位置まで、適度にブレークコードを戻す。
 

 4.天使の輪   
 キャノピーの傾きを整え、前後の位置関係を調整し、あたかも「天使の輪」のようにキャノピーを頭上に設定できたならば、いよいよ離陸である。

 

天使の輪カラー.png

 5,離陸の位置調整(高低)
 キャノピーの「天使の輪」状態を維持しながら、離陸位置と離陸タイミングを調整する。


 風の強いときは
・テイクオフ場所の下の位置(風が比較的弱いところ)で立ち上げる。
・したがって、立ち上げた位置から、風の強い斜面の上方向へ、前を向いたまま少しずつ移動する。
・ここぞと思われる位置についたら、今度は風とのタイミングを合わせる。
・風が乱れてなく、浮きそうな感じの風を感じたら、ブレークコードを少し緩め、前方へ踏み出す。


 風の弱いときには
・テイクオフ場所の上の位置(風が比較的強いところ)で立ち上げる。
・立ち上げる地点が、テイクオフ場所の上に位置にあるので、走る距離は十分に取れている。
・立ち上げた場所で、風のタイミングをみて、走り出す。
・風が弱いとき、走り出す前、キャノピーを頭上で維持しているとき、風が弱いのでキャノピーが揺らぎ、崩れることがある。
・キャノピーが崩れそうなとき、ブレークコードをグイグイと引き、キャノピーをパタパタとさせてみる。凧を上げているとき、風が弱いと、凧が落ちそうになったとき握った糸をグイグイと引っ張り、風を凧に当てる操作を行うが、それと同じ要領である。
・そうすると、キャノピーの中に空気を入れることができ、キャノピーの形を元に戻すことができる。

 

 6.空中へ
・飛ばないように加速し続ければ(走れば)、自然にテイクオフ(離陸)できる。
・飛ぼうとする瞬間、少しブレークコード引く。そして、浮いたら、すぐに元に戻す。
(ブレークコードを引くことにより、キャノピーの迎角を少し上げ、揚力を発生しやすくするという機能がある。飛行機のフラップ機能と同じ)
・身体が浮き、空中へ飛び出したら、両手はニュートラル(耳の高さ)
・パラグライダーは両手を均等に同じくらい引けば真直ぐ飛んでいく。
・目指す方向へ飛んで行くためのポイントは、目標をしっかりと見続けることが大切です。
・必ず、どのような時でも、常に目標を見る、視線を目標に向けるということが鉄則です。

・もしも、空中へ飛び立った後、ハーネスへの腰掛が浅い場合には、深く腰掛けなおす必要がある。
・飛行が安定状態になったら、いったん、ブレークコードを手から離し、両手をハーネスの両側お尻部分に持って行き、前方へ、ググっと押し出す。
・そして、深くキャノピーに腰掛けることができたら、ブレークコードを握りなおす。


 

 ハーネスの腰掛位置調整
もしも、空中へ飛び立った後、ハーネスへの腰掛が浅い場合には、深く腰掛けなおす必要がある。
・離陸後、パラグライダーが安定するまでは、スタンディングポジションのままでいる。
・飛行が安定状態になったら、いったん、ブレークコードを手から離し、両手をハーネスの両側お尻部分に持って行き、前方へ、ググっと押し出す。
・そして、深くキャノピーに腰掛けることができたら、ブレークコードを握りなおす。

 

 テイクオフに関して、非常に有益な記述をインターネット上に見つけました。適切、かつ要領の良い記述ですので、そのまま引用させて頂きます。
 『なお、テイクオフについて個人的に非常に安全であると思う方法があります。それは、「テイクオフまでの動作のほとんどを、限りなくゆっくり行う。」という事です。ゆっくりと立ち上げ、風がそこそこある場合などは一度頭上で止め、しっかりと立ち上げできている事を確認し、ゆっくりと押さえていたブレークを戻して加速を始め、急激に加速することなく、スムーズに加速しながら、安定して離陸をする。というのが、安全なテイクオフの理想ではないかと思います。動作がゆっくりであれば、取りやめもすぐにできますし、何かあった時も、早く動いている時に比べれば、格段にリスクは少なくなります』 (「鬼飛(おにとび)ブログ」テイクオフの心がけ 初中級パラ講座第3回「テイクオフ」より引用、 http://onitobi.blog20.fc2.com/blog-entry-1165.html)

 

余談 思考速度と動作速度
 個人には、個人ごとに固有の思考速度と動作速度を持っていると思われる。それらが速い人もいれば、遅い人もいる。また、年齢による変化もある。それらの早い遅いは別にして、自身の思考速度と動作速度がうまくバランスした状態で、動作なり、行動なりを行なえば、失敗は少なくなると思われる。
 私自身は、それほど早くない「思考速度と動作速度」の持ち主だと、自分で思っている。そして、結構な年齢にすでに達している。自身の思考速度と動作速度を超えた反応はできないと自覚している。
 そこで、テニスのサーブをする際に自身の「思考速度と動作速度」の範囲内、すなわち、思考速度に見合った動作速度のサーブということを意識してやってみた。まず、サーブのトスをゆっくりと投げ上げる、投げ上げるというよりも柔らく上空にスーッと置く感じにする。そして、柔らかくトスしたボールを打つとき、いったん、身体全体に「タメ」を作り、そこから、自身の思考速度に見合った動作速度の範囲内で、ボールを打つということを試みた。思いっきり打つのであるが、微妙に「思考速度と動作速度」の範囲内に収めるつもり打ってみた。全体的には、ゆったりとした動作を求めた。その結果、安定的なサーブを打つ確率が高くなったように思われる。

  飛び立つまでの最大のポイント
 「いかに自身の身体を、キャノピーの中心に置いておくことができるかどうか」

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