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Ⅳ クロスライズアップ(飛び立つための手続き2)


1.風の強さに応じた立ち位置(テイクオフの位置)
2.キャノピーと自分の立ち位置・方向
3.身体の向きの替え方

4.キャノピーの整え方
5.身体を正面に向き替えるためのブレークコードとライザーの持ち方
6.ライズアップ
(1)ライズアップ前の再確認
(2)ウィンドソック(吹き流し)による風の再確認
(3)実際のライズアップ
(4)立ち上げ途中の傾きの修正
7.立ち上げ後 機体の安定のさせ方「スイートスポット」の存在
(1)ブレークコードの基本的位置
(2)横方向の安定(うしろ向き)
(3)キャノピーの前後・上下の調整(うしろ向き)
8.前方に身体の向きを替える
9.前方に向いてからのキャノピーの安定維持

(1)横方向の安定(前向き)
(2)キャノピーの前後・上下の調整(前向き)
(3)キャノピーを頭上に上げ安定させているとき

10.風が弱いときと強いときの走り出し方の違い

 

 クロスライズアップ時の基本動作ポイント
 

a. 心と動作をゆっくりに保つ。
b. キャノピーを頭上に上げるまでは、キャノピーの左右の傾き補正に意識を集中する。
c. キャノピーを頭上に上げたならば、キャノピーの前後の位置調整に意識を集中する。

 

 1.風の強さに応じた立ち位置(テイクオフの位置)


 上下の位置

  ・風が強いときは、テイクオフの斜面の下位置に立つ。
  ・風が弱いときは、テイクオフの斜面の上位置に立つ。

 

 上下の位置調整
 想定よりも、キャノピーと自身の位置が、テイクオフ斜面の上過ぎる部分に来てしまった場合
・キャノピーを地面に置いた状態で、ブレークコードを手に2回ぐらい巻く。
・そして、手を背中側後ろに目いっぱい引いて、坂の下側うしろに後退する。
・下からの風が強いときは、ブレークコードと一緒にCライザーを引くと良い。
・ブレークコードとCライザーを一緒に引きながら、ズルズルとキャノピーを引きずり、望まし位置まで後退する。

 想定よりも、キャノピーと自身の位置が、テイクオフ斜面の下過ぎる部分に来てしまった場合(風の力を借りて、斜面を登っていく)
・キャノピーをほぼ立ち上げ状態のきれいな形に拡げる。

・ブレークコードを手に2回巻き、Aライザーを持つ。
・この状態で、両側から均等に風を受けるようにしながら、軽くAライザーを引く。
・そうすると、キャノピーが空中に少しだけ浮く。
・浮いたときに、キャノピーに引っ張られるように、前へ坂の上側へ、数歩進む。
・ここ作業を何度か繰り返し、望む位置まで、少しずつ上がっていく。

 

 左右の位置
 テイクオフのグラウンドの左右の位置は、基本的にはなるべく中心位置に立ちたい。

 テイクオフのグラウンドで、左右の真ん中ではなく、左に寄ってしまった場合、右に移動する方法(下図を参照)

 ・①キャノピーの中心にたっている。
 ・②キャノピーの中心から、左側に移動する。
 ・左側に移動した位置で、キャノピーを空中に引き上げる。
 ・左側に立つことにより、風の力でキャノピーが右に傾く。
 ・③キャノピーが右に傾くと、身体は右に引っ張られ、自然と右に移動する。
 ・望む場所に移動できたら、キャノピーを下に落として、移動を止める。
 ・移動のポイントは、いったん移動したい方向とは反対の位置に、身体を位置させることである。

 

横立ち位置の修正トリミング.png

 2.キャノピーと自分の立ち位置・方向
 ・キャノピーの中心線上に、キャノピーを背にして立つ。
 ・キャノピーと正対(90度直角)していることを確認する。
 ・換言すると、自分の身体と風の方向を1直線状にして、キャノピーの中心と正対(90度直角)する位置に立つことを意識する。
 ・キャノピーの中心と正対(90度直角)する位置に立つことによって、
キャノピー両側に均等に風を受けられる状態を作ることができる

 

 3.身体の向きの替え方
 ・クロスライズアップの場合は、身体の向きをパラグライダーの方にチェンジする必要がある。
 ・左のライザーA、B、Cとブレークコードのコントロールグリップをまとめて左手で持つ。
 ・そのまま握った左手を上にあげ、左手を中心軸として、右手と身体を右(時計)回りにまわす(下図)。

左手中心右回転.png

左手中心右回転回転後ねじれ修正 (2).png

 4.キャノピーの整え方
 ・この廻った状態で、もう一度、風に対して直角に立ち位置を確認する。
 ・立ち位置が決まったら、ライン類とライザーの外側から、ブレークコードのコントロールグリップ握る。要注意:飛行状態になったときに、両手のブレークコードが、外側・後方から引ける状態になっていることを確実に確認すること。飛行状態を想定し、手を上に上げて、ブレークコードを、外側・後方から引けていることを確認する。
 ・ブレークコードのコントロールグリップは握ったままで、他のライザーA、B、C全部を手から外す。

コントロールグリップ左.jpg
コントロールグリップ右.jpg

 ・左右それぞれのブレークコードだけを2回手に巻き 注1)、手を後ろに引いた状態を作る。

ブレークコード2回巻き付け.jpg

 ・ブレークコードを後ろに引いた状態で、Aラインが軽く張られる位置まで後退します。

                       Aラインが軽く張られる位置

Aラインが引かれた状態.jpg

 注1)ブレークコードを2回手に巻く理由。
 もしも、ブレークコードを2回手に巻かない場合は、下図のようにキャノピーの下側がエアインテークよりも後方に位置する状態になる。この場合、空気の流れがキャノピーの上、上翼を流れる。それと同時に、キャノピーの中に風が吹き込む。そうするとその翼面に斜め上方向の力が生じる。その場合、一気に翼面に空気が流れ込んだとき、急激な強い力が斜め上方向に生じ、身体が前方上方に吹き飛ばされる可能性が生じる(ブレークコードを2回手に巻く理由の図1)。それを未然に防ぐために、前もってブレークコードを2回手に巻くことによって、ブレークコードを十分に引き、キャノピーの下側をあらかじめ引いた状態にしておく。そうすることにより、一気に身体は引っ張られることを防ぐ(ブレークコードを2回手に巻く理由の図2)。

ブレークコードを2回手に巻く理由の図1

風強いちから.png

ブレークコードを2回手に巻く理由の図2

風を逃がす弱いちから.png

 ・この位置で、左右のライザーの束を左右に交差させる(下図)。

ラインの伸びた位置での立ち位置.jpg

 ・右手のブレークコードを握ったままで、右手は向かって右側のAライザー(ライン)を持つ。左手も同様に、左手のブレークコードを持ったままで、左手は向かって左側のA ライザー(ライン)を持つ。

右手は右のライザー.jpg
左手は左ののライザ.jpg

 ・結果として、下図のようなAライザー(ライン)、ブレークコードの持ち方になる。この段階で、右手には、向かって左につながるブレークコードと向かって右側につながるAライン、左手には、向かって右につながるブレークコード、向かって左につながるAラインを握ることになる。

上から見た図 Aライン、ブレークコードの持ち方

Aライン、ブレークコードの持ち方(a).png
横から見た図右向き Aライン、ブレークコードの持ち方.png

 ・このラインの持ち方で、後ろを向いた状態で、キャノピーを扇形(かまぼこ型)にする作業を行う。
 ・次に、拡げたパラグライダーのエアインテークに少しずつ空気を入れるために、Aライザーを引いたり(離れる)、戻したりする(近づく)作業を行う。

エアインテークに少しずつ空気を入れる作業

エアインテークに少しずつ空気を入れる作業.jpg

 ・ある程度、キャノピーが立ち上がったら、Aライザーを手から離し、ブレークコードでキャノピーをきれいに拡げる。
 

ャノピーをきれいに拡げた状態

キャノピーをきれいに拡げた状態.jpg

 ・扇形にきれいに広がって、キャノピーの半分ほどが立ち上がる。
 ・この時、いちばん後ろのリアライザー(黄色or緑色)を引くと、両端部分がきれいに拡がる。
 ・そして、全体的に両端まで均等に空気が入ったら、かつ風の向きもOKだったら、2回巻いていたブレークコードを元に戻す。立ち上げる前には、必ず2回巻いていたブレークコードを元に戻す。
 ・次の段階で、立ち上げとともに、前向きに身体の向きを変える動作を行う。

 テイクオフ場にたいするきれいに広げた状態の位置作り・身体の向き・走る方向


 テイクオフ場の斜面にたいして、キャノピーと身体の位置関係は風に対応させて位置づける。テイクオフ場の形と方向に惑わされずに行う必要がある。

〇 風が、真後ろから来ている場合は、下図のようにテイクオフ場の形に合わせてセッティングをする。
 

テイクオフ真後ろ色付き.png

〇 風が、やや横斜め後ろから来ている場合は、下図のようにテイクオフ場の形にとらわれずに、風の方向を優先させて身体を位置づける。但し、テイクオフの為に走る方向は、斜度の高い方向を優先させて走る。

テイクオフ斜め横風色付き.png

 キャノピーをきれいに拡げた状態で待機する方法
 キャノピーをきれいに拡げライズアップ準備が出来て、ライズアップの順番を待っているとき、強い風が吹いてくる。その場合、キャノピーの下側がまくれて、キャノピーの形が崩れたり、キャノピーの位置が移動してしまったりするときがある。

 ・それを避ける一番の方法は、風の強くない下側の位置へ立ち位置を下げることである。
 ・下げた位置で立ち上げて、前を向き、テイクオフの高い位置へ、後退する。
 ・テイクオフのための十分な距離を前方にとれたなら、前方へ走り出す。

 ・もう一つの方法は、ブレークコードとAライザーを持ったまま待機する。
 ・通常は、キャノピーをきれいに広げたら、飛び立つ準備として、巻いていたブレークコードをほどいて、テイクオフの順番を待つ。
 ・しかし、風が強いときは、風の巻き上げを防ぐために、キャノピーをきれいに拡げた状態で、もう一度、ブレークコードを手に2回巻いて、Aライザーを軽く持って待機する。
 ・下からの風で、キャノピーが宙に浮かないように、Aライザーを引き過ぎず、そして、ブレークコードを緩めず引いたまま、維持する。
 ・エアインテークから空気をキャノピーの中に取り込み、キャノピーの形を保持する。
 ・自身のテイクオフの順番が来たら、手に2回巻いていたブレークコードをといて、通常状態でブレークコードを持つ。
 ・そして、Aライザーとブレークコードを握り、テイクオフの立ち上げ手続きを行う。


 

さらにもう一つの方法は、キャノピーを馬蹄形にする方法である。
・風の状況に応じて、キャノピーを拡げる位置を決める。
・位置を決めたならば、そこでキャノピーをいわゆる馬蹄形で、かつ真ん中を上に膨らませた形に手で拡げる(整える)下図参照。

馬蹄形赤○縮小.png

・この状態で、ブレークコードを手に2回巻いて、左右のライザーの束を左右に交差させる。
・右手のブレークコードを握ったままで、右手は向かって右側のAライザー(ライン)を持つ。左手も同様に、左手のブレークコードを持ったままで、左手は向かって左側のA ライザー(ライン)を持つ。
・ようするに、キャノピーを扇形(かまぼこ型)にする通常の作業の構え・体勢を整える。
・このままの状態で、テイクオフの順番を待つ。
・順番が来たら、キャノピーを拡げ、整える作業を行う。
・キャノピーをきれいに扇形(かまぼこ型)にできたら、キャノピーを引き上げ、実際に立ち上げ作業を実行する。
・そして、テイクオフする。


 

 5.身体を正面に向き替えるためのブレークコードとライザーの持ち方
 ・2回巻いていたブレークコードの2回巻を元に戻し、そのまま
ブレークコードの持ち手は替えないで、そのまま握ったままで左右のAライザー(Aライン)を左右それぞれの手に持つ。
 ・ライザーを身体に近いところで交差させる(下図)。

5.身体を正面に向き替えるためのブレークコード.jpg
5.身体を正面に向き替えるためのブレークコード下.jpg

 ・左下にあるAライザー(Aライン)を上から左手で握る。

・左下にあるAライザー(Aライン)を上から左手で握る.jpg

・右上Aライザー上から右手で握る

右上Aライザー上から右手で握る.jpg

・それぞれの手にブレークコードのコントロールグリップとAライザー(Aライン)が握られている。

それぞれの手にブレークコードのコントロールグリップと.jpg

〇 Aラインとブレークコードの持ち方

Aライン、ブレークコード�の持ち方(a).png

 

 〇 ラインの上下位置・ねじれの確認

 上図のように、ラインを交差して構えたとき、Aライン(赤)が、他のラインの上に位置し、かつねじれていないことを確認する。もしも、位置が下にあったり、ねじれたままの場合には、キャノピーを引き上げようとすると、キャノピーが傾いてしまう可能性が高い。

IMG_1445.JPG

 6.ライズアップ
 (
1)ライズアップ前の再確認
 ・実際にライズアップする前に、自身の立ち位置の確認をする。そのために、実際にキャノピーを上げる前に、小規模に上げるシミュレーションをしてみる。
 ・フロントAライザーとブレークコードを持ち、軽く引いて、キャノピーを少し浮かせてみる。
 ・そのとき、キャノピーの両端が同じ高さに均等に立ち上がるかを確認する。
 ・例えば、向かって右側のキャノピーの端が、左よりも高く上がっている場合;右側のラインがより強く引っ張られている(テンションが掛かっている)状態なので、少し、それを緩めるために、右に寄る。

ライズアップ前の再確認.png

 ・逆に、向かって左側のキャノピーの端が、右よりも高く上がっている場合;左側のラインがより強く引っ張られている(テンションが掛かっている)状態なので、少し、それを緩めるために、左に寄る。
 ・それらの修正を行った上に、もう一度、軽く、キャノピーを少し浮かせてみる。
 ・キャノピーの両翼が均等に上がるようだったら、実際の立ち上げを行う。

 立ち上げ時、キャノピーが傾いてしまう最大の理由は、左右の手の引き具合よりも何よりも、自身の身体位置にある。自身の身体の位置が、後ろからくる風の方向に正対して、キャノピーの中心線上にあるかどうかに掛かっている。

 (2)ウィンドソック(吹き流し)による風の再確認
 ・風の強さの確認:ウィンドソックが垂直角度でどの程度なびいているか。真横=強い、斜め45度以下=弱い
 ・風の方向の確認:ウィンドソックが水平角度でどの方向になびいているか。飛び立とうとする方向にウィンドソックがきちんと向いているかどうかの確認。
 ・風の乱れの確認:ウィンドソックがスムーズになびいているか、バタバタと揺れているかどうか。なるべく、バタバタとしておらず、きれいにスムーズになびいているとき飛び立つ。
 ・上記の風の強さが適度と思われるとき、風の方向が想定している方向になびいているとき、そして、風の乱れがないとき、この3つの条件がそろった時に立ち上げを行う。

(3)実際のライズアップ
 ライズアップ時、そしてライズアップ後、もっとも重要なことは常に一定の負荷をキャノピーにかけ続けることである。キャノピーが地上を離れた瞬間から、適度の負荷感、キャノピーを気持ちよく引いている・コントロールしているという感触を手とハーネスに感じられたら、その立ち上げはスムーズに行く。そのためには、風の強弱に応じたキャノピーの引き上げ速度の調整が必要になってくる。


 安定的にキャノピーを頭上に上げるためには、キャノピーを上方向に引っ張り上げる力をしっかりと作ることができるかどうかが、キーポイントになってくる。キャノピーを上に引っ張り上げる力は、キャノピーの上を流れる空気の速度に比例する。キャノピーの上を流れる空気の速度が早ければ、上に引く力は強くなる、逆に、キャノピーの上を流れる空気の速度が遅ければ、上に引く力は弱くなる。したがって、Aライザーにたいする引き具合とハーネスへの体重のかけ具合により、ある程度の速さで、キャノピーを引きあげることができれば、それなりの引き上げ力が得られることになる。その結果、左右にぶれずにきちんと頭上に上げることができる。
  ゆっくり過ぎると、引き上げの力が弱く、キャノピーがフラフラとして安定的な引き上げができない。一方、早過ぎる引き上げだと、一気にキャノピーに引っ張られてしまう可能性がる。あるいは、キャノピーのスピードに思考が付いていけず、キャノピーに振り回され、身体ごと飛ばされてしまう可能性が大になる。したがって、キャノピーを安定的にうまく頭上に位置させるには、風の強弱に応じたキャノピーの引き上速度の調整が必要になる。
 

 キャノピーの立ち上げ速度の加減
・キャノピーの立ち上げ速度の加減は、ハーネスへの荷重のかけ具合とAラインの引き具合によって調整する。
・ハーネスにたいして、より多く荷重を掛けると、立ち上げ速度は速くなる。
・ハーネスにたいして、荷重を少なくすると、立ち上げ速度がゆっくりになる。
・Aラインを強く引くと、立ち上げ速度は速くなる。
・Aラインを弱く引くと、立ち上げ速度がゆっくりになる。
・風が強いときはハーネスに軽く体重を掛け、Aラインを軽く引くだけで自然とキャノピーが上がる、一方、風が弱いときはハーネスにしっかりと体重を掛け、Aラインを(一気に)強めに引く必要がある。

 

 が普通のとき(風速3~4メートル)
・キャノピーの中心線上に、キャノピーに向かって正対して立つ。
・フロントAライザーとブレークコードをしっかり持つ。
・足を少し前後に位置させ、腰を少し落とす。
・この状態で、身体の真うしろ方向に体重を掛け、うしろ方向に引く。
・身体全体でハーネスに体(荷)重を掛け、同時にフロントAライザーを引く。
・腕で引くというよりも、腰・ハーネスで引くイメージ。
・どちらかというと、手は引くためのきっかけ作りと考える。
・キャノピーの立ち上げ速度の加減は、ハーネスへの荷重のかけ具合とAライザーの引き具合によって調整する。
 ・ハーネスにたいして、より多く荷重を掛けると、立ち上げ速度は速くなる。
 ・ハーネスにたいして、荷重を少なくすると、立ち上げ速度がゆっくりになる。
・Aライザーの引き具合を強くすると、早い速度でキャノピーが上がる。
・Aライザーの引き具合を弱くすると、ゆっくりの速度でキャノピーが上がる。
・立ち上げのイメージとしては、立ち上げ直後は、ある程度一気にハーネスに体(荷)重を掛けて立ち上げ、少しずつ荷重を抜いてキャノピーの立ち上げ速度を調整する。
 ・キャノピーが上昇し始めると同時に、上に引っ張られるので、逆らわずに引っ張られる方向にそのまま上方向へ足を進める。
 ・キャノピーが上がり始めたら、なるべくキャノピーの浮力に任せつつ、キャノピー全体をホールドしている感じで浮かせていく。
 ・足を踏ん張らずに、ライン類が適度のテンションを持った状態を保ち、キャノピーの方向に近づいていく。
・この段階では、手はほぼ添えているだけのイメージ。
・ある程度キャノピーが上がったら、風の力に任せるかたちで、キャノピーを上げていく。
・風をとらえながら、あまり速くなく、柔らかく、優しく上げていく。
 ・キャノピーを自分に近づけるというよりも、キャノピーの下に自身の身体を入り込ませる感じ。
 ・7,8、9分目キャノピーが上がったら、フロントAライザーを手から離す。
 ・キャノピーが頭上に来たら、揺り戻しがあるので、元に戻るのを抑えるために、一旦、ブレークコードを「ぐっ」と引く。それと同時に、キャノピーにしっかりと風を包み込ませる意図もある。
 ・キャノピーが停止したら、ブレークコードを緩める。
・そして、後ろ向きの頭上安定を行う。
・キャノピーが左右に傾いておらず、そして、前後ではなく頭の真上にあることを確認する。
・その状態を見計らって、身体を回転させて前方に向く。
・基本は、ゆっくり丁寧に焦らず、遅くも早くもない自身の思考能力のスピードに見合った速さで引き上げる。
・思考能力を超えると、操作が追い付かなくなる。

 

 風が弱いとき(風速1~2メートル)
 風が弱いとき、キャノピーを引き上げる速度を上げる必要がある。下の理屈である。

キャノピーを引き上げる速度を速くする
         ⇩
キャノピーの上を流れる空気の速度が上がる
         ⇩
キャノピーを上に持ち上げる力が強くなる
         ⇩
キャノピーをしっかりと安定的に立ち上げることができる

(キャノピーを引き上げる速度を速くすることによって、ことによって、キャノピーの上を流れる空気の速度を上げる。キャノピーの上を流れる空気の速度を上げることによって、キャノピーを上に持ち上げる力を強くすることができる。持ち上げる力が強くなれば、弱い風の中でも、しっかりとキャノピーを安定的に立ち上げることができる)

 立ち上げのイメージとしては、最初は、ゆっくり、そしてキャノピーが地面から少し浮いたら、しっかりと素早く立ちあげ、スピードを持ってキャノピーを頭上付近に引き上げる。極端に風が弱いときは、後ろ向きのまま後ろ方向に軽く走りながら引き上げると、キャノピーにしっかりと風を含ませることができる。風が強いときに、その風の強さを和らげるために、上方向に走るという手段の逆方向バージョンである。

 


・キャノピーの中心線上に、キャノピーに向かって正対して立つ。
・フロントAライザーとブレークコードをしっかり持つ。
(もしかしたら、風を余分に含ませるために、ワングリップ分ぐらいブレークコードを短く持つ、と良いかもしれない?)
・足を少し前後に位置させ、腰を少し落とす。
・この状態で、身体の真うしろ方向に体重を掛け、うしろに引く。
・身体全体でハーネスに一気に強く体(荷)重を掛け、同時にフロントAライザーを強めに引く。
・手は上げるためのきっかけ作りと同時に、キャノピーに速度を与える重要な要素になる。
・基本は、最初のきっかけづくりはゆっくりだが、上がり始めたらキャノピーに加速を加えていく。
・ある程度の速度を持たせた状態でキャノピーを頂点まで上げる。
・途中、キャノピーが横に傾いたら、傾いた側へ寄ると同時に、キャノピーの前方へ出る。
・つまり、傾いた側の斜め前方へ、身体の位置を持って行く。
・キャノピーの位置よりも、身体の位置を風上側に持って行くことにより、キャノピーのコントロールができるようになる。
・キャノピーの横からでは、キャノピーを制御できない。
・頂点までキャノピーが上がったら、しっかりとブレークコードを腰の下まで引く。
・キャノピーに含ませた空気圧を抜かないように、キャノピーに荷重を掛け続ける。
・キャノピーから荷重が抜け、フラフラッとなびきそうになったら、腰を少し落とす、あるいは少し前に出て、再度、キャノピーに荷重を掛ける。
・風が弱いときには、あまり長く静止状態を維持できないので、早めに頃合いを見計らって、前方に身体の向きを変え、若干の静止状態後、走り出す。


 

 風が強いとき(風速4メートル以上)
 風が強いとき:キャノピーは風の力で、自立的に上に上がるので、ゆっくりと引き上げる気持ちで上げる。そして、上に上がるにつれて、ハーネスにたいする荷重を少しずつ抜いて、キャノピーの立ち上げ速度を減速する。

・キャノピーの中心線上に、キャノピーに向かって正対して立つ。
・フロントAライザーとブレークコードをしっかり持つ。
・足を少し前後に位置させ、腰を少し落とす。
・この状態で、身体の真うしろ方向に体重を掛け、ゆっくりとうしろに引く。
・キャノピーが上昇し始めると同時に、上に引っ張られるので、逆らわずに引っ張られる方向にそのまま上方向へ足を進める。
・キャノピーが上がり始めたら、なるべくキャノピーの浮力に任せつつ、キャノピー全体をホールドしている感じで浮かせていく。
・足を踏ん張らずに、ライン類が適度のテンションを持った状態を保つ。
・風をとらえながら、できるだけゆっくり、柔らかく、優しく上げていく。
・キャノピーを自分に近づけるというよりも、キャノピーの下に自身の身体を入り込ませる感じ。
・7,8、9分目キャノピーが上がったら、フロントAライザーを手から離す。
・キャノピーが頭上に来たら、揺り戻しがあるので、元に戻るのを抑えるために、一旦、ブレークコードを「ぐっ」と引く。それと同時に、キャノピーにしっかりと風を包み込ませる意図もある。
・キャノピーが停止したら、ブレークコードを緩める。 

 

揺れ戻し.png

 (4)立ち上げ途中の傾きの修正
 ・キャノピーが上がるまでは、身体の位置で傾きを調整する。
 ・立ち上げの時、初めから傾いて上がりそうな場合、無理しないですぐに中止する。そして、再立ち上げを行う。

ローラーのイメージ.png

 立ち上げ時、立つ位置が中心線上にないときの注意点。
 立ち上げ時、基本的には、下図のように風を背にして、キャノピーにたいして90度の角度を持って正対する。そして、キャノピーの左翼と右翼の翼端から等距離の位置に身体を位置づける。

中心線上にないとき.png

 もしも、その場合に、下図のように、中心線よりも右側に位置して立った場合は、どうなるかというと。その場合、軽く腰を後ろに引いてラインを上げてみると、左側の翼端側が右よりも、高く上がる。というのは、左側のラインが右よりも張っているので、空気をしっかりと入れ込む、一方、右側は、ラインが緩く張られているので、空気をキャノピーから逃す状態になっている。その結果、左側の翼に多くの空気を含み、一方、右側の翼には左より少ない空気を含むことになり、左側の翼が右側よりも先に上に上がってしまうことになる。

中心線よりも右側.png

 この状態で、キャノピーを立ち上げようとすると、立ち上げる途中から、キャノピーは下図のように右に傾いてします。同時に、身体も右に引っ張られてしまう。

右手に傾いてしまう.png

 7.立ち上げ後 機体の安定のさせ方「スイートスポット」の存在

(1)ブレークコードの基本的位置
 ・停止している(したい)とき、ブレークコードを握ったこぶしの位置は腰・腰下近辺。
 ・走り出し、走っているとき、ブレークコードを握ったこぶしの位置は、肩・肩上以上。
(2)横方向の安定(うしろ向き)
 ・フロントAライザーを手から離したら、身体とブレークコードで傾きを調整する。
 ・キャノピーにたいして、腰(ハーネス)により、常に一定の負荷を掛け続ける。そうしないと、キャノピーが頭上でフラフラと揺らぎ、前後左右に動き安定しない。
 ・一定の負荷の操作は腰(ハーネス)により行ない、キャノピーの操作はブレークコードの操作で調整する。

①身体の位置での操作 後ろから見た図

①身体の位置での操作 左.png
①身体の位置での操作 右.png

②ブレークコードでの操作 後ろから見た図

②ブレークコードでの操作 左.png
②ブレークコードでの操作 右.png

 注意点 ブレークコードを引くときは、必ず反対側の手を意識して、逆方向、あるいは同じ位置を維持する。意識しておかないと、片方の手に連動して動いてしまい、ブレークコード操作の効果がなくなってしまう。

ブレークコードを引き過ぎたとき:下図のようにキャノピーがつぶれる。

キャノピーがつぶれる.jpg

キャノピーが傾き、下図のように向かって左翼が右翼の上に重なってしまった場合の修正方法
・右側ブレークコードを引き、エアインテークに風を送り込む。
・徐々に上右の部分が立ち上がり始めるので、上右部分が身体の正面まできたら、
・それにつれて身体を左側に移動させる。
・キャノピーが左側に戻り、意図する状態にキャノピーが戻る。

キャノピーが傾き.jpg

キャノピーを上げたとき、下図のように「クラバット」状態になった場合の直し方

クラパッドを戻す1.MOV_snapshot_05.07_[2023.10.02_14.59.52].jpg

  ・空中に浮かせた状態で、クラバットしている側の翼端、いちばん外側のライン(オレンジ色)を掴む。

 ・そして、このオレンジ色のラインをググッと内側に引き込む。
 ・このようにするとクラバットが解消されるはずである。
 ・もしも、外れない場合には、キャノピーを地上におろして、手でじかに外す。
 ・けっして、クラバットした状態では、飛び出してはいけない。

外側のライン全体図〇入り.jpg
キャノピー先端端オレンジ色ライン〇入り.jpg
外側のライン手元オレンジ色.jpg

 前方を向く前に、キャノピーを安定させたうえで、必ず、一呼吸置く(「前を向きます・・・」と唱える)。

 もしも、後ろ向きのままに、空中に浮いてしまったら、そのままの状態でいる。あるいは、手を上にバンザイの形をとる。そうすると、自然に宙に浮いた身体が正面を向く。
 それでも身体が前を向かない場合は、ラインのクロスしている部分の上の部分を右と左手個々に掴んで「グイッ」と引き離す。身体が回転して、前を向く。

(3)キャノピーの前後・上下の調整(うしろ向き)
 ・身体の位置とキャノピーの位置の調整も、身体とブレークコードで行う。
 ・心がけることは、キャノピーにたいして、腰(ハーネス)により、常に一定の負荷を掛け続けること。
 ・全体的に両端まで均等に空気が入り、きれいに起き上がったら、左右のブレークコードを握ったこぶしを一気に腰付近まで下に引き、そして、肩の位置ぐらいまで戻す。
 ・風の強弱に応じて、ブレークコードを握った手(こぶし)の位置を調整して、キャノピーを安定させる。
 風が強いとき
 ・ブレークコードを握ったこぶしは、腰と胸の間。風の強さに応じて調整する。
 ・ブレークコードを握ったこぶしの位置が低すぎると、前にグイグイと引っ張られてしまう。
 ・前に引っ張れない程度にブレークコードを引く、一方、キャノピーに引っ張られ飛び上がらない程度にブレークコードを握ったこぶしの位置を上げる。
 ・前に引かれず、かといって、逆向きのまま空中に浮かない程度に、ブレークコードを握ったこぶしの位置を調整する。胸当たり?
 風が弱いとき
 ・ブレークコードを握ったこぶしは、腰あるいは腰よりも下の位置。思い切り下でも良いかも。
 ・手(こぶし)の位置が高過ぎる場合、キャノピーの中に空気をため込むことができずに、キャノピーが浮力を失って、フワフワっと沈んでしまう。
 ・手(こぶし)の位置が低過ぎる場合、低すぎるということはほとんどあり得ない。思い切って引いても良い。
 ・キャノピーに風を包み込み、風をホールドしている感じを保つ。

 風がほどほどのとき
 ・ブレークコードを握ったこぶしは、腰と肩の間の位置。
 ・キャノピーに一定の力がかかる程度、過度に引っぱられず、あるいは、キャノピーが自身の身体よりも、前方・飛行方向に行ってしまわない程度に引いておく。
 ・風がほどほどのときは、適度にブレークコードを引いておけば、大体、キャノピーは頭上に留まる。

 8.前方に身体の向きを替える
 最初にキャノピー側に向きを替えたときは、左手を上にあげ、左手を中心軸にして、右手と身体を右(時計)回りにまわしたので、
 ・今度は、左手中心軸にして、右手と身体を左(反時計)回りにまわす。
 ・向きを替えるときは、なるべき身体とラインを近づけて、小さい回転半径で中心点を意識して、偏ることなくスムーズに回転する。
 ・身体を左(反時計)回りにまわすので、右足を前へ、左足を後ろに位置させる。

左足カカトに重心マーク.png

 ・身体の中心軸を意識して、左足に軽く体重を掛けるようにして、回転する。
 ・焦る必要はなく、スピードよりも、バランスの良い回転を意識する。
 ・そうすると、キャノピーが身体の後ろになり、もとの前向きの状態になる。

       後ろ向きの状態                   

うしろ向きから前に回転.png

うしろむきから前向き回転後.png

元の前向きの状態

 9.前方に向いてからのキャノピーの安定維持
 ・身体の向きを回転させて、テイクオフ方向に身体を向けたら、常にハーネスに荷重を掛けるようにして、キャノピーに負荷を掛け続ける感じを保つ。
 ・Aライザーを放すのが速いとキャノピーは後ろに落ちる。
 ・Aライザーを放すのが遅いとキャノピーはパイロットを追い越して潰れる。
 

(1)横方向の安定(前向き)

身体の位置と操作ブレークコードでの操作は、下図のようになる。

 

・前向きになったら、どちらか片方の翼端を見ながら(キャノピーの傾きは、ハーネスの引っ張られ具合でも感知できる)、傾きの修正を行い、キャノピーを安定させる。

 

キャノピーが傾いた時の修正方法は、2つある。①自身の身体をキャノピーの中心に移動させる方法と②ブレークコードを引く方法である。この2つの方法には、有効に働かせるための優先順位がある。

①キャノピーが傾いた時、最初に自身の身体をキャノピーの中心位置に移動する。

②そして、それでも傾きが修正できない場合に、ブレークを使う。

 

 キャノピーの左側が上がっているとき(下図)

①身体の位置による調整

・ハーネスの左側ライザーが上に引かれる。

・身体はグライダーの真中から、左側に位置する状態

・身体をキャノピーの中心に位置させるために、右側に移動させる

・それでも不十分な場合・・

 ②ブレークコードを引く方法

・左側ライザーを引き下げる。

・同時に、左手の引きに対応するように、反対側の右手を押し出す。

横方向の安定(前向き)左上に引かれる番号付き.png
横方向の安定(前向き)右上に引かれる感じ番号付き.png

・キャノピーの右側が上がっているとき(下図)
①身体の位置による調整
・ハーネスの右側ライザーが上に引かれる。

・身体はグライダーの真中から、右側に位置する状態
・身体をキャノピーの中心に位置させるために、左側に移動させる。
・それでも不十分な場合・・
 ②ブレークコードを引く方法
・右側ライザーを引き下げる。
・同時に、右手の引きに対応するように、反対側の左手を押し出す。

 

 (2)キャノピーの前後・上下の調整(前向き)
 ・心がけることは、キャノピーにたいして、腰(ハーネス)により、常に一定の負荷を掛け続けること。
 ・前を向いたら、キャノピーを安定させるために、一旦、ブレークコードを「ぐっ」と引く。
 ・キャノピーが安定したら、ブレークコードを緩め、ブレークコードを握ったこぶしの位置を再確認する。
 ・ブレークコードを握ったこぶしの位置は、風の強弱に応じて調整する。

 風が強いとき
 ・ブレークコードを握ったこぶしは、腰下と胸の間。風の強さに応じて調整する。
 ・ブレークコードを握ったこぶしの位置が低すぎると、うしろにグイグイと引っ張られてしまう。
 ・うしろに引っ張れない程度ブレークコードを緩める(握ったこぶしの位置高めにする)。
 ・一方、ブレークコードを緩め(握ったこぶしの位置高め)過ぎると、意図せずに空中に飛びあがってしまうことがある。
 ・うしろに強く引かれず、かといって、逆向きのまま空中に浮かない程度に、ブレークコードを握ったこぶしの位置を調整する。胸当たり?
 ・風が強いときは、テイクオフの斜面の下(風が比較的弱い)位置に立つので、テイクオフの距離が短くなる。
 ・そこで、強風下の場合、前向きの安定状態を保って、キャノピーの浮力を利用して、斜面の上の方へ移動する。
 ・前を向いているので、そのまま後ろ方向へ後ずさりすることになる。
 ・うしろにゆっくり引かれ、かといって、空中に浮かない程度に、ブレークコードを握ったこぶしの位置を調整する。胸と腰下の中間?
 ・うしろにゆっくり引かれる状態を保って、テイクオフの斜面の上位置に立つ。
 ・斜面の上位置で後退を停止して、ふわっと浮き上がりそうな風を待つ。
 ・その期待した風が来たと思ったら、ブレークコードをグイっと下に引き、一瞬、浮力を高める。
 ・それと同時に、前方に軽く踏み出していく。

 風が弱いとき
 ・ブレークコードを握ったこぶしは、腰あるいは腰よりも下の位置。思い切り下でも良いかも。
 ・手(こぶし)の位置が高過ぎる場合、キャノピーの中に空気をため込むことができずに、キャノピーが浮力を失って、フワフワっと沈んでしまう。
 ・手(こぶし)の位置が低過ぎる場合、低すぎるということはほとんどあり得ない。思い切って引いても良い。
 ・キャノピーに風を包み込み、風をホールドしている感じを保つ。

 ・キャノピーが、浮力を失い、よろよろと左、あるいは右になびいてしまうとき、ブレークコードをパタパタと引いたり、上げたりするとキャノピーが風をはらんでくれる。凧あげの時、風が弱いとき、凧をクイクイッと引く要領である。

 風がほどほどのとき
 ・ブレークコードを握ったこぶしは、腰と肩の間の位置。
 ・キャノピーに一定の力がかかる程度、過度に引っぱられず、あるいは、キャノピーが自身の身体よりも、前方・飛行方向に行ってしまわない程度に引いておく。
 ・風がほどほどのときは、適度にブレークコードを引いておけば、大体、キャノピーは頭上に留まる。

(3)キャノピーを頭上に上げ安定させているとき
 キャノピーを頭上に上げ安定させているとき、一瞬の風に煽られて、キャノピーの形が崩れるときがある。その時の対処方法は、次のようにする。
・風に煽られキャノピーの形が崩れ、キャノピーが瞬時に傾いたり、手ごたえがなくなるときがある。
・その瞬間、身体をキャノピーよりも前に出す(前に一歩踏み出す、あるいは腰を落とすという方法も)。
・そうすることにより、キャノピー身体の後ろに位置させ、キャノピーに風をはらませることができる。
・そして、ある意味、キャノピーを風上から操作することになる。
・キャノピーに風をはらませているので、前方からのブレークコードを引く等の操作がきちんとキャノピーに伝えることができる。
・この状態で、身体の前後左右の位置調整、ブレークコードの操作を行なえば、キャノピーが安定状態に戻る。

 キャノピーを一旦、安定させる。安定させたたうえで、必ず、一呼吸置く。一呼吸置いた後に、「よし、Let’s go!」と、走り出す。
 

 10.風が弱いときと強いときの走り出し方の違い
 (1)風が弱いとき
クロスライズアップの状態で、後ろを向いたまま頭上安定を行う。そして、キャノピーがしっかりと安定したら、素早く前に向きを変える。前を向いたら、あまり躊躇せずに前方に走り出す。
 (2)風が強いとき
 パラフィールドの場合、大体、テイクオフの場所は平らな高い部分から、斜めに下りの斜面が作られている。ヤブ等の影響により、一般に下の方が、風が弱く、上に行くにしたがい風が強く吹いている。したがって、風が強いときには、風が弱くなる低めの位置について、クロスライズアップでキャノピーを立ち上げる。そして、前に向きを変えて、キャノピーを頭上安定させながら、少しずつ前向きのままキャノピーに引かれるようにして、上の方へ移動していく。そして、十分に走る距離を確保できたら、走り出す。
 風が強いときに、後ろ向きで頭上安定をさせながら、斜面の上の方へ移動しようとした場合、後ろ向きの状態もまま空中に浮いてしまうことがある。そのことを考慮して、前向きになってから、後ろ方向へ斜面を登っていく方法をとる。
 

 クロスライズアップ時の基本動作ポイント
 

a. 心と動作をゆっくりに保つ。
b. キャノピーを頭上に上げるまでは、キャノピーの左右の傾き補正に意識を集中する。
c. キャノピーを頭上に上げたならば、キャノピーの前後の位置調整に意識を集中する。

 

 1.風の強さに応じた立ち位置(テイクオフの位置)


 上下の位置

  ・風が強いときは、テイクオフの斜面の下位置に立つ。
  ・風が弱いときは、テイクオフの斜面の上位置に立つ。

 

 上下の位置調整
 想定よりも、キャノピーと自身の位置が、テイクオフ斜面の上過ぎる部分に来てしまった場合
・キャノピーを地面に置いた状態で、ブレークコードを手に2回ぐらい巻く。
・そして、手を背中側後ろに目いっぱい引いて、坂の下側うしろに後退する。
・下からの風が強いときは、ブレークコードと一緒にCライザーを引くと良い。
・ブレークコードとCライザーを一緒に引きながら、ズルズルとキャノピーを引きずり、望まし位置まで後退する。

 想定よりも、キャノピーと自身の位置が、テイクオフ斜面の下過ぎる部分に来てしまった場合(風の力を借りて、斜面を登っていく)
・キャノピーをほぼ立ち上げ状態のきれいな形に拡げる。

・ブレークコードを手に2回巻き、Aライザーを持つ。
・この状態で、両側から均等に風を受けるようにしながら、軽くAライザーを引く。
・そうすると、キャノピーが空中に少しだけ浮く。
・浮いたときに、キャノピーに引っ張られるように、前へ坂の上側へ、数歩進む。
・ここ作業を何度か繰り返し、望む位置まで、少しずつ上がっていく。

 

 左右の位置
 テイクオフのグラウンドの左右の位置は、基本的にはなるべく中心位置に立ちたい。

 テイクオフのグラウンドで、左右の真ん中ではなく、左に寄ってしまった場合、右に移動する方法(下図を参照)

 ・①キャノピーの中心にたっている。
 ・②キャノピーの中心から、左側に移動する。
 ・左側に移動した位置で、キャノピーを空中に引き上げる。
 ・左側に立つことにより、風の力でキャノピーが右に傾く。
 ・③キャノピーが右に傾くと、身体は右に引っ張られ、自然と右に移動する。
 ・望む場所に移動できたら、キャノピーを下に落として、移動を止める。
 ・移動のポイントは、いったん移動したい方向とは反対の位置に、身体を位置させることである。

 

横立ち位置の修正トリミング.png

 2.キャノピーと自分の立ち位置・方向
 ・キャノピーの中心線上に、キャノピーを背にして立つ。
 ・キャノピーと正対(90度直角)していることを確認する。
 ・換言すると、自分の身体と風の方向を1直線状にして、キャノピーの中心と正対(90度直角)する位置に立つことを意識する。
 ・キャノピーの中心と正対(90度直角)する位置に立つことによって、
キャノピー両側に均等に風を受けられる状態を作ることができる

 

 3.身体の向きの替え方
 ・クロスライズアップの場合は、身体の向きをパラグライダーの方にチェンジする必要がある。
 ・左のライザーA、B、Cとブレークコードのコントロールグリップをまとめて左手で持つ。
 ・そのまま握った左手を上にあげ、左手を中心軸として、右手と身体を右(時計)回りにまわす(下図)。

左手中心右回転.png

左手中心右回転回転後ねじれ修正 (2).png

 4.キャノピーの整え方
 ・この廻った状態で、もう一度、風に対して直角に立ち位置を確認する。
 ・立ち位置が決まったら、ライン類とライザーの外側から、ブレークコードのコントロールグリップ握る。要注意:飛行状態になったときに、両手のブレークコードが、外側・後方から引ける状態になっていることを確実に確認すること。飛行状態を想定し、手を上に上げて、ブレークコードを、外側・後方から引けていることを確認する。
 ・ブレークコードのコントロールグリップは握ったままで、他のライザーA、B、C全部を手から外す。

コントロールグリップ左.jpg
コントロールグリップ右.jpg

 ・左右それぞれのブレークコードだけを2回手に巻き 注1)、手を後ろに引いた状態を作る。

ブレークコード2回巻き付け.jpg

 ・ブレークコードを後ろに引いた状態で、Aラインが軽く張られる位置まで後退します。

                       Aラインが軽く張られる位置

Aラインが引かれた状態.jpg

 注1)ブレークコードを2回手に巻く理由。
 もしも、ブレークコードを2回手に巻かない場合は、下図のようにキャノピーの下側がエアインテークよりも後方に位置する状態になる。この場合、空気の流れがキャノピーの上、上翼を流れる。それと同時に、キャノピーの中に風が吹き込む。そうするとその翼面に斜め上方向の力が生じる。その場合、一気に翼面に空気が流れ込んだとき、急激な強い力が斜め上方向に生じ、身体が前方上方に吹き飛ばされる可能性が生じる(ブレークコードを2回手に巻く理由の図1)。それを未然に防ぐために、前もってブレークコードを2回手に巻くことによって、ブレークコードを十分に引き、キャノピーの下側をあらかじめ引いた状態にしておく。そうすることにより、一気に身体は引っ張られることを防ぐ(ブレークコードを2回手に巻く理由の図2)。

ブレークコードを2回手に巻く理由の図1

風強いちから.png

ブレークコードを2回手に巻く理由の図2

風を逃がす弱いちから.png

 ・この位置で、左右のライザーの束を左右に交差させる(下図)。

ラインの伸びた位置での立ち位置.jpg

 ・右手のブレークコードを握ったままで、右手は向かって右側のAライザー(ライン)を持つ。左手も同様に、左手のブレークコードを持ったままで、左手は向かって左側のA ライザー(ライン)を持つ。

右手は右のライザー.jpg
左手は左ののライザ.jpg

 ・結果として、下図のようなAライザー(ライン)、ブレークコードの持ち方になる。この段階で、右手には、向かって左につながるブレークコードと向かって右側につながるAライン、左手には、向かって右につながるブレークコード、向かって左につながるAラインを握ることになる。

上から見た図 Aライン、ブレークコードの持ち方

Aライン、ブレークコードの持ち方(a).png
横から見た図右向き Aライン、ブレークコードの持ち方.png

 ・このラインの持ち方で、後ろを向いた状態で、キャノピーを扇形(かまぼこ型)にする作業を行う。
 ・次に、拡げたパラグライダーのエアインテークに少しずつ空気を入れるために、Aライザーを引いたり(離れる)、戻したりする(近づく)作業を行う。

エアインテークに少しずつ空気を入れる作業

エアインテークに少しずつ空気を入れる作業.jpg

 ・ある程度、キャノピーが立ち上がったら、Aライザーを手から離し、ブレークコードでキャノピーをきれいに拡げる。
 

ャノピーをきれいに拡げた状態

キャノピーをきれいに拡げた状態.jpg

 ・扇形にきれいに広がって、キャノピーの半分ほどが立ち上がる。
 ・この時、いちばん後ろのリアライザー(黄色or緑色)を引くと、両端部分がきれいに拡がる。
 ・そして、全体的に両端まで均等に空気が入ったら、かつ風の向きもOKだったら、2回巻いていたブレークコードを元に戻す。立ち上げる前には、必ず2回巻いていたブレークコードを元に戻す。
 ・次の段階で、立ち上げとともに、前向きに身体の向きを変える動作を行う。

 キャノピーをきれいに拡げた状態で待機する方法
 キャノピーをきれいに拡げライズアップ準備が出来て、ライズアップの順番を待っているとき、強い風が吹いてくる。その場合、キャノピーの下側がまくれて、キャノピーの形が崩れたり、キャノピーの位置が移動してしまったりするときがある。

 ・それを避ける一番の方法は、風の強くない下側の位置へ立ち位置を下げることである。
 ・下げた位置で立ち上げて、前を向き、テイクオフの高い位置へ、後退する。
 ・テイクオフのための十分な距離を前方にとれたなら、前方へ走り出す。

 ・もう一つの方法は、ブレークコードとAライザーを持ったまま待機する。
 ・通常は、キャノピーをきれいに広げたら、飛び立つ準備として、巻いていたブレークコードをほどいて、テイクオフの順番を待つ。
 ・しかし、風が強いときは、風の巻き上げを防ぐために、キャノピーをきれいに拡げた状態で、もう一度、ブレークコードを手に2回巻いて、Aライザーを軽く持って待機する。
 ・下からの風で、キャノピーが宙に浮かないように、Aライザーを引き過ぎず、そして、ブレークコードを緩めず引いたまま、維持する。
 ・エアインテークから空気をキャノピーの中に取り込み、キャノピーの形を保持する。
 ・自身のテイクオフの順番が来たら、手に2回巻いていたブレークコードをといて、通常状態でブレークコードを持つ。
 ・そして、Aライザーとブレークコードを握り、テイクオフの立ち上げ手続きを行う。


 

さらにもう一つの方法は、キャノピーを馬蹄形にする方法である。
・風の状況に応じて、キャノピーを拡げる位置を決める。
・位置を決めたならば、そこでキャノピーをいわゆる馬蹄形で、かつ真ん中を上に膨らませた形に手で拡げる(整える)下図参照。

馬蹄形赤○縮小.png

・この状態で、ブレークコードを手に2回巻いて、左右のライザーの束を左右に交差させる。
・右手のブレークコードを握ったままで、右手は向かって右側のAライザー(ライン)を持つ。左手も同様に、左手のブレークコードを持ったままで、左手は向かって左側のA ライザー(ライン)を持つ。
・ようするに、キャノピーを扇形(かまぼこ型)にする通常の作業の構え・体勢を整える。
・このままの状態で、テイクオフの順番を待つ。
・順番が来たら、キャノピーを拡げ、整える作業を行う。
・キャノピーをきれいに扇形(かまぼこ型)にできたら、キャノピーを引き上げ、実際に立ち上げ作業を実行する。
・そして、テイクオフする。


 

 5.身体を正面に向き替えるためのブレークコードとライザーの持ち方
 ・2回巻いていたブレークコードの2回巻を元に戻し、そのまま
ブレークコードの持ち手は替えないで、そのまま握ったままで左右のAライザー(Aライン)を左右それぞれの手に持つ。
 ・ライザーを身体に近いところで交差させる(下図)。

5.身体を正面に向き替えるためのブレークコード.jpg
5.身体を正面に向き替えるためのブレークコード下.jpg

 ・左下にあるAライザー(Aライン)を上から左手で握る。

・左下にあるAライザー(Aライン)を上から左手で握る.jpg

・右上Aライザー上から右手で握る

右上Aライザー上から右手で握る.jpg

・それぞれの手にブレークコードのコントロールグリップとAライザー(Aライン)が握られている。

それぞれの手にブレークコードのコントロールグリップと.jpg

・Aラインとブレークコードの持ち方

Aライン、ブレークコードの持ち方(a).png

 6.ライズアップ
 (
1)ライズアップ前の再確認
 ・実際にライズアップする前に、自身の立ち位置の確認をする。そのために、実際にキャノピーを上げる前に、小規模に上げるシミュレーションをしてみる。
 ・フロントAライザーとブレークコードを持ち、軽く引いて、キャノピーを少し浮かせてみる。
 ・そのとき、キャノピーの両端が同じ高さに均等に立ち上がるかを確認する。
 ・例えば、向かって右側のキャノピーの端が、左よりも高く上がっている場合;右側のラインがより強く引っ張られている(テンションが掛かっている)状態なので、少し、それを緩めるために、右に寄る。

ライズアップ前の再確認.png

 ・逆に、向かって左側のキャノピーの端が、右よりも高く上がっている場合;左側のラインがより強く引っ張られている(テンションが掛かっている)状態なので、少し、それを緩めるために、左に寄る。
 ・それらの修正を行った上に、もう一度、軽く、キャノピーを少し浮かせてみる。
 ・キャノピーの両翼が均等に上がるようだったら、実際の立ち上げを行う。

 立ち上げ時、キャノピーが傾いてしまう最大の理由は、左右の手の引き具合よりも何よりも、自身の身体位置にある。自身の身体の位置が、後ろからくる風の方向に正対して、キャノピーの中心線上にあるかどうかに掛かっている。

 (2)ウィンドソック(吹き流し)による風の再確認
 ・風の強さの確認:ウィンドソックが垂直角度でどの程度なびいているか。真横=強い、斜め45度以下=弱い
 ・風の方向の確認:ウィンドソックが水平角度でどの方向になびいているか。飛び立とうとする方向にウィンドソックがきちんと向いているかどうかの確認。
 ・風の乱れの確認:ウィンドソックがスムーズになびいているか、バタバタと揺れているかどうか。なるべく、バタバタとしておらず、きれいにスムーズになびいているとき飛び立つ。
 ・上記の風の強さが適度と思われるとき、風の方向が想定している方向になびいているとき、そして、風の乱れがないとき、この3つの条件がそろった時に立ち上げを行う。

(3)実際のライズアップ
 ライズアップ時、そしてライズアップ後、もっとも重要なことは常に一定の負荷をキャノピーにかけ続けることである。キャノピーが地上を離れた瞬間から、適度の負荷感、キャノピーを気持ちよく引いている・コントロールしているという感触を手とハーネスに感じられたら、その立ち上げはスムーズに行く。そのためには、風の強弱に応じたキャノピーの引き上げ速度の調整が必要になってくる。


 安定的にキャノピーを頭上に上げるためには、キャノピーを上方向に引っ張り上げる力をしっかりと作ることができるかどうかが、キーポイントになってくる。キャノピーを上に引っ張り上げる力は、キャノピーの上を流れる空気の速度に比例する。キャノピーの上を流れる空気の速度が早ければ、上に引く力は強くなる、逆に、キャノピーの上を流れる空気の速度が遅ければ、上に引く力は弱くなる。したがって、Aライザーにたいする引き具合とハーネスへの体重のかけ具合により、ある程度の速さで、キャノピーを引きあげることができれば、それなりの引き上げ力が得られることになる。その結果、左右にぶれずにきちんと頭上に上げることができる。
  ゆっくり過ぎると、引き上げの力が弱く、キャノピーがフラフラとして安定的な引き上げができない。一方、早過ぎる引き上げだと、一気にキャノピーに引っ張られてしまう可能性がる。あるいは、キャノピーのスピードに思考が付いていけず、キャノピーに振り回され、身体ごと飛ばされてしまう可能性が大になる。したがって、キャノピーを安定的にうまく頭上に位置させるには、風の強弱に応じたキャノピーの引き上速度の調整が必要になる。
 

 キャノピーの立ち上げ速度の加減
・キャノピーの立ち上げ速度の加減は、ハーネスへの荷重のかけ具合とAラインの引き具合によって調整する。
・ハーネスにたいして、より多く荷重を掛けると、立ち上げ速度は速くなる。
・ハーネスにたいして、荷重を少なくすると、立ち上げ速度がゆっくりになる。
・Aラインを強く引くと、立ち上げ速度は速くなる。
・Aラインを弱く引くと、立ち上げ速度がゆっくりになる。
・風が強いときはハーネスに軽く体重を掛け、Aラインを軽く引くだけで自然とキャノピーが上がる、一方、風が弱いときはハーネスにしっかりと体重を掛け、Aラインを(一気に)強めに引く必要がある。

 

 が普通のとき(風速3~4メートル)
・キャノピーの中心線上に、キャノピーに向かって正対して立つ。
・フロントAライザーとブレークコードをしっかり持つ。
・足を少し前後に位置させ、腰を少し落とす。
・この状態で、身体の真うしろ方向に体重を掛け、うしろ方向に引く。
・身体全体でハーネスに体(荷)重を掛け、同時にフロントAライザーを引く。
・腕で引くというよりも、腰・ハーネスで引くイメージ。
・どちらかというと、手は引くためのきっかけ作りと考える。
・キャノピーの立ち上げ速度の加減は、ハーネスへの荷重のかけ具合とAライザーの引き具合によって調整する。
 ・ハーネスにたいして、より多く荷重を掛けると、立ち上げ速度は速くなる。
 ・ハーネスにたいして、荷重を少なくすると、立ち上げ速度がゆっくりになる。
・Aライザーの引き具合を強くすると、早い速度でキャノピーが上がる。
・Aライザーの引き具合を弱くすると、ゆっくりの速度でキャノピーが上がる。
・立ち上げのイメージとしては、立ち上げ直後は、ある程度一気にハーネスに体(荷)重を掛けて立ち上げ、少しずつ荷重を抜いてキャノピーの立ち上げ速度を調整する。
 ・キャノピーが上昇し始めると同時に、上に引っ張られるので、逆らわずに引っ張られる方向にそのまま上方向へ足を進める。
 ・キャノピーが上がり始めたら、なるべくキャノピーの浮力に任せつつ、キャノピー全体をホールドしている感じで浮かせていく。
 ・足を踏ん張らずに、ライン類が適度のテンションを持った状態を保ち、キャノピーの方向に近づいていく。
・この段階では、手はほぼ添えているだけのイメージ。
・ある程度キャノピーが上がったら、風の力に任せるかたちで、キャノピーを上げていく。
・風をとらえながら、あまり速くなく、柔らかく、優しく上げていく。
 ・キャノピーを自分に近づけるというよりも、キャノピーの下に自身の身体を入り込ませる感じ。
 ・7,8、9分目キャノピーが上がったら、フロントAライザーを手から離す。
 ・キャノピーが頭上に来たら、揺り戻しがあるので、元に戻るのを抑えるために、一旦、ブレークコードを「ぐっ」と引く。それと同時に、キャノピーにしっかりと風を包み込ませる意図もある。
 ・キャノピーが停止したら、ブレークコードを緩める。
・そして、後ろ向きの頭上安定を行う。
・キャノピーが左右に傾いておらず、そして、前後ではなく頭の真上にあることを確認する。
・その状態を見計らって、身体を回転させて前方に向く。
・基本は、ゆっくり丁寧に焦らず、遅くも早くもない自身の思考能力のスピードに見合った速さで引き上げる。
・思考能力を超えると、操作が追い付かなくなる。

 

 風が弱いとき(風速1~2メートル)
 風が弱いとき、キャノピーを引き上げる速度を上げる必要がある。下の理屈である。

キャノピーを引き上げる速度を速くする
         ⇩
キャノピーの上を流れる空気の速度が上がる
         ⇩
キャノピーを上に持ち上げる力が強くなる
         ⇩
キャノピーをしっかりと安定的に立ち上げることができる

(キャノピーを引き上げる速度を速くすることによって、ことによって、キャノピーの上を流れる空気の速度を上げる。キャノピーの上を流れる空気の速度を上げることによって、キャノピーを上に持ち上げる力を強くすることができる。持ち上げる力が強くなれば、弱い風の中でも、しっかりとキャノピーを安定的に立ち上げることができる)

 立ち上げのイメージとしては、最初は、ゆっくり、そしてキャノピーが地面から少し浮いたら、しっかりと素早く立ちあげ、スピードを持ってキャノピーを頭上付近に引き上げる。
・キャノピーの中心線上に、キャノピーに向かって正対して立つ。
・フロントAライザーとブレークコードをしっかり持つ。
(もしかしたら、風を余分に含ませるために、ワングリップ分ぐらいブレークコードを短く持つ、と良いかもしれない?)
・足を少し前後に位置させ、腰を少し落とす。
・この状態で、身体の真うしろ方向に体重を掛け、うしろに引く。
・身体全体でハーネスに一気に強く体(荷)重を掛け、同時にフロントAライザーを強めに引く。
・手は上げるためのきっかけ作りと同時に、キャノピーに速度を与える重要な要素になる。
・基本は、最初のきっかけづくりはゆっくりだが、上がり始めたらキャノピーに加速を加えていく。
・ある程度の速度を持たせた状態でキャノピーを頂点まで上げる。
・途中、キャノピーが横に傾いたら、傾いた側へ寄ると同時に、キャノピーの前方へ出る。
・つまり、傾いた側の斜め前方へ、身体の位置を持って行く。
・キャノピーの位置よりも、身体の位置を風上側に持って行くことにより、キャノピーのコントロールができるようになる。
・キャノピーの横からでは、キャノピーを制御できない。
・頂点までキャノピーが上がったら、しっかりとブレークコードを腰の下まで引く。
・キャノピーに含ませた空気圧を抜かないように、キャノピーに荷重を掛け続ける。
・キャノピーから荷重が抜け、フラフラッとなびきそうになったら、腰を少し落とす、あるいは少し前に出て、再度、キャノピーに荷重を掛ける。
・風が弱いときには、あまり長く静止状態を維持できないので、早めに頃合いを見計らって、前方に身体の向きを変え、若干の静止状態後、走り出す。


 

 風が強いとき(風速4メートル以上)
 風が強いとき:キャノピーは風の力で、自立的に上に上がるので、ゆっくりと引き上げる気持ちで上げる。そして、上に上がるにつれて、ハーネスにたいする荷重を少しずつ抜いて、キャノピーの立ち上げ速度を減速する。

・キャノピーの中心線上に、キャノピーに向かって正対して立つ。
・フロントAライザーとブレークコードをしっかり持つ。
・足を少し前後に位置させ、腰を少し落とす。
・この状態で、身体の真うしろ方向に体重を掛け、ゆっくりとうしろに引く。
・キャノピーが上昇し始めると同時に、上に引っ張られるので、逆らわずに引っ張られる方向にそのまま上方向へ足を進める。
・キャノピーが上がり始めたら、なるべくキャノピーの浮力に任せつつ、キャノピー全体をホールドしている感じで浮かせていく。
・足を踏ん張らずに、ライン類が適度のテンションを持った状態を保つ。
・風をとらえながら、できるだけゆっくり、柔らかく、優しく上げていく。
・キャノピーを自分に近づけるというよりも、キャノピーの下に自身の身体を入り込ませる感じ。
・7,8、9分目キャノピーが上がったら、フロントAライザーを手から離す。
・キャノピーが頭上に来たら、揺り戻しがあるので、元に戻るのを抑えるために、一旦、ブレークコードを「ぐっ」と引く。それと同時に、キャノピーにしっかりと風を包み込ませる意図もある。
・キャノピーが停止したら、ブレークコードを緩める。 

 

揺れ戻し.png

 (4)立ち上げ途中の傾きの修正
 ・キャノピーが上がるまでは、身体の位置で傾きを調整する。
 ・立ち上げの時、初めから傾いて上がりそうな場合、無理しないですぐに中止する。そして、再立ち上げを行う。

ローラーのイメージ.png

 立ち上げ時、立つ位置が中心線上にないときの注意点。
 立ち上げ時、基本的には、下図のように風を背にして、キャノピーにたいして90度の角度を持って正対する。そして、キャノピーの左翼と右翼の翼端から等距離の位置に身体を位置づける。

中心線上にないとき.png

 もしも、その場合に、下図のように、中心線よりも右側に位置して立った場合は、どうなるかというと。その場合、軽く腰を後ろに引いてラインを上げてみると、左側の翼端側が右よりも、高く上がる。というのは、左側のラインが右よりも張っているので、空気をしっかりと入れ込む、一方、右側は、ラインが緩く張られているので、空気をキャノピーから逃す状態になっている。その結果、左側の翼に多くの空気を含み、一方、右側の翼には左より少ない空気を含むことになり、左側の翼が右側よりも先に上に上がってしまうことになる。

中心線よりも右側.png

 この状態で、キャノピーを立ち上げようとすると、立ち上げる途中から、キャノピーは下図のように右に傾いてします。同時に、身体も右に引っ張られてしまう。

右手に傾いてしまう.png

 7.立ち上げ後 機体の安定のさせ方「スイートスポット」の存在

(1)ブレークコードの基本的位置
 ・停止している(したい)とき、ブレークコードを握ったこぶしの位置は腰・腰下近辺。
 ・走り出し、走っているとき、ブレークコードを握ったこぶしの位置は、肩・肩上以上。
(2)横方向の安定(うしろ向き)
 ・フロントAライザーを手から離したら、身体とブレークコードで傾きを調整する。
 ・キャノピーにたいして、腰(ハーネス)により、常に一定の負荷を掛け続ける。そうしないと、キャノピーが頭上でフラフラと揺らぎ、前後左右に動き安定しない。
 ・一定の負荷の操作は腰(ハーネス)により行ない、キャノピーの操作はブレークコードの操作で調整する。

①身体の位置での操作 後ろから見た図

①身体の位置での操作 左.png
①身体の位置での操作 右.png

②ブレークコードでの操作 後ろから見た図

②ブレークコードでの操作 左.png
②ブレークコードでの操作 右.png

 注意点 ブレークコードを引くときは、必ず反対側の手を意識して、逆方向、あるいは同じ位置を維持する。意識しておかないと、片方の手に連動して動いてしまい、ブレークコード操作の効果がなくなってしまう。

ブレークコードを引き過ぎたとき:下図のようにキャノピーがつぶれる。

キャノピーがつぶれる.jpg

キャノピーが傾き、下図のように向かって左翼が右翼の上に重なってしまった場合の修正方法
・右側ブレークコードを引き、エアインテークに風を送り込む。
・徐々に上右の部分が立ち上がり始めるので、上右部分が身体の正面まできたら、
・それにつれて身体を左側に移動させる。
・キャノピーが左側に戻り、意図する状態にキャノピーが戻る。

キャノピーが傾き.jpg

キャノピーを上げたとき、下図のように「クラバット」状態になった場合の直し方

クラパッドを戻す1.MOV_snapshot_05.07_[2023.10.02_14.59.52].jpg

  ・空中に浮かせた状態で、クラバットしている側の翼端、いちばん外側のライン(オレンジ色)を掴む。

 ・そして、このオレンジ色のラインをググッと内側に引き込む。
 ・このようにするとクラバットが解消されるはずである。
 ・もしも、外れない場合には、キャノピーを地上におろして、手でじかに外す。
 ・けっして、クラバットした状態では、飛び出してはいけない。

外側のライン全体図〇入り.jpg
キャノピー先端端オレンジ色ライン〇入り.jpg
外側のライン手元オレンジ色.jpg

 前方を向く前に、キャノピーを安定させたうえで、必ず、一呼吸置く(「前を向きます・・・」と唱える)。

 もしも、後ろ向きのままに、空中に浮いてしまったら、そのままの状態でいる。あるいは、手を上にバンザイの形をとる。そうすると、自然に宙に浮いた身体が正面を向く。
 それでも身体が前を向かない場合は、ラインのクロスしている部分の上の部分を右と左手個々に掴んで「グイッ」と引き離す。身体が回転して、前を向く。

(3)キャノピーの前後・上下の調整(うしろ向き)
 ・身体の位置とキャノピーの位置の調整も、身体とブレークコードで行う。
 ・心がけることは、キャノピーにたいして、腰(ハーネス)により、常に一定の負荷を掛け続けること。
 ・全体的に両端まで均等に空気が入り、きれいに起き上がったら、左右のブレークコードを握ったこぶしを一気に腰付近まで下に引き、そして、肩の位置ぐらいまで戻す。
 ・風の強弱に応じて、ブレークコードを握った手(こぶし)の位置を調整して、キャノピーを安定させる。
 風が強いとき
 ・ブレークコードを握ったこぶしは、腰と胸の間。風の強さに応じて調整する。
 ・ブレークコードを握ったこぶしの位置が低すぎると、前にグイグイと引っ張られてしまう。
 ・前に引っ張れない程度にブレークコードを引く、一方、キャノピーに引っ張られ飛び上がらない程度にブレークコードを握ったこぶしの位置を上げる。
 ・前に引かれず、かといって、逆向きのまま空中に浮かない程度に、ブレークコードを握ったこぶしの位置を調整する。胸当たり?
 風が弱いとき
 ・ブレークコードを握ったこぶしは、腰あるいは腰よりも下の位置。思い切り下でも良いかも。
 ・手(こぶし)の位置が高過ぎる場合、キャノピーの中に空気をため込むことができずに、キャノピーが浮力を失って、フワフワっと沈んでしまう。
 ・手(こぶし)の位置が低過ぎる場合、低すぎるということはほとんどあり得ない。思い切って引いても良い。
 ・キャノピーに風を包み込み、風をホールドしている感じを保つ。

 風がほどほどのとき
 ・ブレークコードを握ったこぶしは、腰と肩の間の位置。
 ・キャノピーに一定の力がかかる程度、過度に引っぱられず、あるいは、キャノピーが自身の身体よりも、前方・飛行方向に行ってしまわない程度に引いておく。
 ・風がほどほどのときは、適度にブレークコードを引いておけば、大体、キャノピーは頭上に留まる。

 8.前方に身体の向きを替える
 最初にキャノピー側に向きを替えたときは、左手を上にあげ、左手を中心軸にして、右手と身体を右(時計)回りにまわしたので、
 ・今度は、左手中心軸にして、右手と身体を左(反時計)回りにまわす。
 ・向きを替えるときは、なるべき身体とラインを近づけて、小さい回転半径で中心点を意識して、偏ることなくスムーズに回転する。
 ・身体を左(反時計)回りにまわすので、右足を前へ、左足を後ろに位置させる。

左足カカトに重心マーク.png

 ・身体の中心軸を意識して、左足に軽く体重を掛けるようにして、回転する。
 ・焦る必要はなく、スピードよりも、バランスの良い回転を意識する。
 ・そうすると、キャノピーが身体の後ろになり、もとの前向きの状態になる。

       後ろ向きの状態                   

うしろ向きから前に回転.png

うしろむきから前向き回転後.png

元の前向きの状態

 9.前方に向いてからのキャノピーの安定維持
 ・身体の向きを回転させて、テイクオフ方向に身体を向けたら、常にハーネスに荷重を掛けるようにして、キャノピーに負荷を掛け続ける感じを保つ。
 ・Aライザーを放すのが速いとキャノピーは後ろに落ちる。
 ・Aライザーを放すのが遅いとキャノピーはパイロットを追い越して潰れる。
 

(1)横方向の安定(前向き)

身体の位置と操作ブレークコードでの操作は、下図のようになる。

 

・前向きになったら、どちらか片方の翼端を見ながら(キャノピーの傾きは、ハーネスの引っ張られ具合でも感知できる)、傾きの修正を行い、キャノピーを安定させる。

 

キャノピーが傾いた時の修正方法は、2つある。①自身の身体をキャノピーの中心に移動させる方法と②ブレークコードを引く方法である。この2つの方法には、有効に働かせるための優先順位がある。

①キャノピーが傾いた時、最初に自身の身体をキャノピーの中心位置に移動する。

②そして、それでも傾きが修正できない場合に、ブレークを使う。

 

 キャノピーの左側が上がっているとき(下図)

①身体の位置による調整

・ハーネスの左側ライザーが上に引かれる。

・身体はグライダーの真中から、左側に位置する状態

・身体をキャノピーの中心に位置させるために、右側に移動させる

・それでも不十分な場合・・

 ②ブレークコードを引く方法

・左側ライザーを引き下げる。

・同時に、左手の引きに対応するように、反対側の右手を押し出す。

横方向の安定(前向き)左上に引かれる番号付き.png
横方向の安定(前向き)右上に引かれる感じ番号付き.png

・キャノピーの右側が上がっているとき(下図)
①身体の位置による調整
・ハーネスの右側ライザーが上に引かれる。

・身体はグライダーの真中から、右側に位置する状態
・身体をキャノピーの中心に位置させるために、左側に移動させる。
・それでも不十分な場合・・
 ②ブレークコードを引く方法
・右側ライザーを引き下げる。
・同時に、右手の引きに対応するように、反対側の左手を押し出す。

 

 (2)キャノピーの前後・上下の調整(前向き)
 ・心がけることは、キャノピーにたいして、腰(ハーネス)により、常に一定の負荷を掛け続けること。
 ・前を向いたら、キャノピーを安定させるために、一旦、ブレークコードを「ぐっ」と引く。
 ・キャノピーが安定したら、ブレークコードを緩め、ブレークコードを握ったこぶしの位置を再確認する。
 ・ブレークコードを握ったこぶしの位置は、風の強弱に応じて調整する。

 風が強いとき
 ・ブレークコードを握ったこぶしは、腰下と胸の間。風の強さに応じて調整する。
 ・ブレークコードを握ったこぶしの位置が低すぎると、うしろにグイグイと引っ張られてしまう。
 ・うしろに引っ張れない程度ブレークコードを緩める(握ったこぶしの位置高めにする)。
 ・一方、ブレークコードを緩め(握ったこぶしの位置高め)過ぎると、意図せずに空中に飛びあがってしまうことがある。
 ・うしろに強く引かれず、かといって、逆向きのまま空中に浮かない程度に、ブレークコードを握ったこぶしの位置を調整する。胸当たり?
 ・風が強いときは、テイクオフの斜面の下(風が比較的弱い)位置に立つので、テイクオフの距離が短くなる。
 ・そこで、強風下の場合、前向きの安定状態を保って、キャノピーの浮力を利用して、斜面の上の方へ移動する。
 ・前を向いているので、そのまま後ろ方向へ後ずさりすることになる。
 ・うしろにゆっくり引かれ、かといって、空中に浮かない程度に、ブレークコードを握ったこぶしの位置を調整する。胸と腰下の中間?
 ・うしろにゆっくり引かれる状態を保って、テイクオフの斜面の上位置に立つ。
 ・斜面の上位置で後退を停止して、ふわっと浮き上がりそうな風を待つ。
 ・その期待した風が来たと思ったら、ブレークコードをグイっと下に引き、一瞬、浮力を高める。
 ・それと同時に、前方に軽く踏み出していく。

 風が弱いとき
 ・ブレークコードを握ったこぶしは、腰あるいは腰よりも下の位置。思い切り下でも良いかも。
 ・手(こぶし)の位置が高過ぎる場合、キャノピーの中に空気をため込むことができずに、キャノピーが浮力を失って、フワフワっと沈んでしまう。
 ・手(こぶし)の位置が低過ぎる場合、低すぎるということはほとんどあり得ない。思い切って引いても良い。
 ・キャノピーに風を包み込み、風をホールドしている感じを保つ。

 ・キャノピーが、浮力を失い、よろよろと左、あるいは右になびいてしまうとき、ブレークコードをパタパタと引いたり、上げたりするとキャノピーが風をはらんでくれる。凧あげの時、風が弱いとき、凧をクイクイッと引く要領である。

 風がほどほどのとき
 ・ブレークコードを握ったこぶしは、腰と肩の間の位置。
 ・キャノピーに一定の力がかかる程度、過度に引っぱられず、あるいは、キャノピーが自身の身体よりも、前方・飛行方向に行ってしまわない程度に引いておく。
 ・風がほどほどのときは、適度にブレークコードを引いておけば、大体、キャノピーは頭上に留まる。

(3)キャノピーを頭上に上げ安定させているとき
 キャノピーを頭上に上げ安定させているとき、一瞬の風に煽られて、キャノピーの形が崩れるときがある。その時の対処方法は、次のようにする。
・風に煽られキャノピーの形が崩れ、キャノピーが瞬時に傾いたり、手ごたえがなくなるときがある。
・その瞬間、身体をキャノピーよりも前に出す(前に一歩踏み出す、あるいは腰を落とすという方法も)。
・そうすることにより、キャノピー身体の後ろに位置させ、キャノピーに風をはらませることができる。
・そして、ある意味、キャノピーを風上から操作することになる。
・キャノピーに風をはらませているので、前方からのブレークコードを引く等の操作がきちんとキャノピーに伝えることができる。
・この状態で、身体の前後左右の位置調整、ブレークコードの操作を行なえば、キャノピーが安定状態に戻る。

 キャノピーを一旦、安定させる。安定させたたうえで、必ず、一呼吸置く。一呼吸置いた後に、「よし、Let’s go!」と、走り出す。
 

 10.風が弱いときと強いときの走り出し方の違い
 (1)風が弱いとき
クロスライズアップの状態で、後ろを向いたまま頭上安定を行う。そして、キャノピーがしっかりと安定したら、素早く前に向きを変える。前を向いたら、あまり躊躇せずに前方に走り出す。
 (2)風が強いとき
 パラフィールドの場合、大体、テイクオフの場所は平らな高い部分から、斜めに下りの斜面が作られている。ヤブ等の影響により、一般に下の方が、風が弱く、上に行くにしたがい風が強く吹いている。したがって、風が強いときには、風が弱くなる低めの位置について、クロスライズアップでキャノピーを立ち上げる。そして、前に向きを変えて、キャノピーを頭上安定させながら、少しずつ前向きのままキャノピーに引かれるようにして、上の方へ移動していく。そして、十分に走る距離を確保できたら、走り出す。
 風が強いときに、後ろ向きで頭上安定をさせながら、斜面の上の方へ移動しようとした場合、後ろ向きの状態もまま空中に浮いてしまうことがある。そのことを考慮して、前向きになってから、後ろ方向へ斜面を登っていく方法をとる。
 

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